九品寺について
ロゴに込めた想い
令和3年(2021年)、これまで以上に地域に開かれた寺院にしたいという願いを込め、
九品寺のロゴマークを新しくいたしました。
いわき市で活躍されているグラフィックデザイナーの髙木市之助さんの作です。
仏教のお話、九品寺のお話など、なんども話を重ねながら、
御仏の教えや九品寺の魅力を体現し、造形的に優れたロゴマークを作っていただきました。
3本の曲線によって形づくられているのは九品寺の「品」の字です。仏教では、極楽浄土に生まれ変わる時、生前の行いによって九つのパターンに生まれ変わるとされます。上中下の「三品」と上中下の「三生」を組み合わせたもので、もっとも良いものを上品上生(じょうぼんじょうしょう)、もっとも下を下品下生(げぼんげしょう)としました。これが九品です。
しかしながら、仏様からすれば九品の上から下まで大して変わりはなく、念仏を唱えれば九品の差別なく極楽浄土へ行けるのだと、だから、一心に念仏を唱えなさいという教えを残しました。九品はあるけれども、すべてに開かれているのが仏様の教えなんです。その九品の「品」の字を、髙木さんにデザインして頂きました。
この3本の曲線は、九品寺のシンボルである「大ケヤキ」を上から見たときのこんもりした形をデザインしたものであります。また、見方によっては雲のようにも見えます。インターネットを通じてさまざまなサービスを必要な分だけ利用できる仕組みを「クラウド=雲」と呼びますが、仏教とは、法要や催しなどさまざまな回路を通じてアクセスする「クラウド」のようなものかもしれません。そこには、膨大な知が蓄積されています。
ロゴの「九品寺」の文字は、代々九品寺を支えてきた「釜屋」の諸橋元三郎氏(1897~1989年)の御真筆。本堂入口に掲げられている扁額から作成されています。
「釜屋」は、江戸時代の元禄13年(1700年)、磐城平藩御用商人であった初代の諸橋久太郎氏によって創業された。鍋や釜などの金物類を販売し、その後、事業を拡大され、いわきを代表する豪商へと成長しました。九品寺は、釜屋を中心とした平の商人に支えられ興隆したお寺です。その歴史とお支え頂いた感謝を込めて、ロゴの文字に採用させていただきました。
九品寺は、令和6年(2024年)に開山450年となります。髙木さんには、来るべき未来にふさわしいロゴマークを作っていただきました。この場を借りて、髙木さんに御礼を申し上げると共に、ぜひこのロゴマークを通じて、まだお会いしたことのない皆さんと九品寺との距離が縮まり、御仏の教えに触れる機会が少しでも広がればと願っております。
デザイナー/アートディレクター
Takagi Ichinosuke Graphic & Design 代表
高木 市之助
仙台デザイン専門学校グラフィックデザイン科卒業。かまぼこ製造会社 貴千にて企画開発室長として従事。商品のパッケージ、ウェブサイト、販促物などのデザインに携わる。2016年 デザイン事務所 Takagi Ichinosuke Graphic & Design を設立。2019年に自身がデザインを手掛けた「いわきの地域包括ケアigoku」が、グッドデザイン賞ファイナリスト金賞を受賞。日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA) 会員。いわき市在住。
http://www.ichinosuket.com/